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イベントレポート
レガシー侍 MeetUP5 in 大阪
〜生成AI時代のモダナイゼーション戦略〜を開催
全面刷新だけが答えではない。
生成AI時代に問われる、モダナイゼーションの現実解
システムズが運営するコミュニティ「レガシー侍」は、2026年8月25日、特定非営利活動法人CIO Loungeとの共催によるリアルセミナー「レガシー侍 MeetUP5 in 大阪」を、システムズ大阪オフィスにて開催しました。初の大阪リアル開催となった今回は、関西エリアのCIOやIT部門責任者が多数来場しました。
近年、「2025年の崖」や技術者不足、クラウド移行の加速を背景に、基幹システム刷新の機運が高まっています。一方で、「ERPへの全面刷新が正解」「生成AIがシステムを自動で作り変えてくれる」といった期待先行の議論も少なくありません。本セミナーでは、経営・現場・技術の各視点から企業価値を高めるモダナイゼーションの現実解を議論しました。

満席で盛況なセミナー会場
【第1部】基調対談:全面刷新は目的ではない 〜経営戦略から導く、モダナイゼーションの現実解〜
第1部では、「全面刷新は目的ではない」というテーマのもと、特定非営利活動法人CIO Lounge 理事長の矢島孝應氏と、株式会社システムズ代表取締役社長の小河原隆史による基調対談が行われました。

オープニングで挨拶した当社の板倉利幸
冒頭で、システムズ ビジネスイノベーション本部長の板倉利幸より、創業57年を迎えるシステムズの事業概要と、2022年から活動を続ける人財コミュニティ「レガシー侍」の取り組みが紹介されました。当社は1995年からマイグレーション事業に取り組み、汎用機やオフコンからオープン環境への移行支援を推進。近年はクラウド移行やDX・AI活用支援にも領域を広げています。

【第1部】基調対談:矢島 孝應 氏 × 小河原 隆史
30年以上にわたり数々の大企業でCIOを歴任してきた矢島氏は、これまで複数企業でERP全面導入計画を見直してきた経験を紹介。「システム刷新そのものが目的になってはいけない。経営強化につながらなければ意味がない」と強調しました。現場からは「今の業務を大きく変える必要を感じない」という声も多く聞かれたといいます。また、外部からの情報や市場の流れによって、漠然と「刷新しなければならない」という空気が生まれていたケースもあったと振り返りました。小河原社長は、15億円を投じた全面刷新が現場に定着せず、旧システムへ戻った事例を紹介しました。

CIO Lounge 理事長
矢島孝應氏
日本の「現場力」とフィット・トゥ・スタンダードの相克
議論はさらに、日本企業が持つ“現場力”へと広がります。
矢島氏は、日本と米国の労働文化の違いに触れながら、日本企業の競争力は現場の知恵や柔軟な対応力(現場力)に支えられていると説明しました。物流や製造の現場では、標準化された手順だけでは対応できない細かな工夫が日々積み重ねられており、それが企業独自の強みとしてシステムの中にも組み込まれているケースが少なくありません。そのため、矢島氏は、業務を無理に標準化する「フィット・トゥ・スタンダード」の導入が、自社の競争優位性まで失ってしまう可能性があると指摘しました。

当社 代表取締役社長の
小河原隆史
AI神話への警戒
また、モダナイゼーションにおける生成AIの活用について、両氏は「ERP神話がAI神話にすり替わる危険性」を指摘しました。矢島氏は「知識」「知恵」「意思決定」の3段階でAIを整理し、AIは情報整理や選択肢提示には有効である一方、責任を伴う意思決定は人間にしかできないと説明。小河原社長も、生成AIだけでレガシーシステムを刷新できるという風潮に懸念を示し、長年培われたシステムや業務への理解なくして真のモダナイゼーションは実現できないと強調しました。
さらに、「今の最新技術も20年後にはレガシーになる」と語り、レガシー技術と最新技術の双方を理解する“両極人材”の育成が企業の持続的成長には欠かせないとの考えを示しました。
【第2部】システムズセッション:生成AIを武器にするレガシー解析術 〜『棚卸し』と『可視化』で進める、人間主体のナレッジ継承〜
第2部では、株式会社システムズ ITソリューション事業本部 プロジェクトマネージメントセンターの大島理史が登壇し、「棚卸しと可視化で進める人間主体のナレッジ継承」をテーマに講演を行いました。

【第2部】システムズ セッション:生成AIを武器にするレガシー解析術

【第2部】を担当した当社の
大島理史
近年、生成AIによるシステムモダナイゼーションへの期待は急速に高まっています。大島はその象徴的な例として、Anthropicの「Claude Code」発表後に市場へ大きなインパクトが生じた事例を紹介。一方で、ガートナーのレポートを引き合いに「生成AIを活用したメインフレーム移行の70%が期待された効果を得られない」という厳しい予測を紹介し、過度な期待への警戒を促しました。さらに「規模」「暗黙知」「品質保証」の壁があり、AIだけによる完全自動移行は現実的ではないと説明しました。
大島は、「生成AIの主戦場は変換ではなく解析にある」と説明しました。現状のAIが最も力を発揮するのは、システムの現状調査、資産棚卸し、依存関係の整理、機能分析といった上流工程です。AIでシステム構造を可視化し、モダナイゼーションの土台を整えると説明しました。
ブラックボックス化したレガシーシステムを解析・可視化する「Re:structure AI」
講演では、システムズが開発する「Re:structure AI」も紹介されました。同ツールは、COBOLやRPG、VB、Javaなどレガシーアプリ資産を解析し、自動分類や依存関係の整理、システム概要の生成を行います。しかし、大島が最も強調したのは「AIだけでは完成しない」という点でした。AIが抽出できるのはコード上の事実のみです。AIの解析結果に現役担当者や現場社員、専門家が業務知識を補完する。この人間主体のアプローチが成功の鍵だと語りました。
【第3部】CIO Lounge 分科会セッション:目的から逆算する基幹システム変革 〜現場の実践知から導く『Why・What・How』の羅針盤〜
第3部では、CIO Lounge基幹システム分科会 座長の本木昌裕氏が登壇し約1年にわたる分科会活動で蓄積された知見を共有しました。

【第3部】CIO Lounge 分科会 セッション:目的から逆算する基幹システム変革
プロジェクトの起点を分類する「4象限」
本木氏は、多くの刷新プロジェクトが失敗する原因として「目的の曖昧さ」を挙げました。
講演では、基幹システム刷新を「Why(なぜやるのか)」「What(何を変えるのか)」「How(どう進めるのか)」の3フェーズに整理するフレームワークが示されました。特に印象的だったのは、システム刷新の起点を「ビジネス観点かIT観点か」「トップダウンかボトムアップか」の4象限で分類した考え方です。起点によってプロジェクトの進め方や失敗パターンは大きく異なると述べました。
中でも最も多いのが、「IT部門からの老朽化対策から始まる刷新(IT×ボトムアップ)」です。しかし、老朽化対策だけでは経営理解が得にくいため、無理な業務改革目標が追加され、結果としてプロジェクトが肥大化し破綻するケースが少なくないと指摘しました。本木氏は、目的の重心を明確にすることが成功の出発点だと強調しました。
コンポーザブルアーキテクチャと「安全第一」
また、システムの構成については、「安定コア」「差別化エッジ」「革新エッジ」の3層構造を提示しました。受発注や会計などの基幹機能は安定性を重視し、SCMやPLMなど競争力に関わる領域は柔軟性を持たせる。そして新規サービス領域は最新技術を積極的に活用する。こうした特性に応じて最適な技術を組み合わせるコンポーザブルアーキテクチャの考え方が今後ますます重要になるとの見解が示されました。

【第3部】を担当した
CIO Loungeの本木昌裕氏
最後に本木氏は、「たかがIT、されどIT」という言葉で講演を締めくくりました。ITそのものが企業価値を決定づけるわけではない。しかし、基幹システムの停止やセキュリティ事故は事業継続に直結する大きなリスクとなります。そのため、何十年かに一度の大事業である基幹システム刷新は「安全第一」で進めるべきであり、自社の実力を正しく把握した上で、関係者全員が当事者意識を持つことが何より重要だと訴えました。
セッション終了後の質疑応答では、「Re:structure AI」の具体的な運用方法や、Java等の現行言語の将来的なレガシー化について活発な議論が交わされました。今回のセミナーで共有されたのは、「手段を目的化しない」という視点です。ERP刷新や生成AI活用は目的ではなく手段であり、人の知見と判断を軸に最適な変革を進めることの重要性が改めて示されました。
初の大阪開催となったレガシー侍MeetUP5は、経営層と現場責任者が共通の課題意識を持って議論を深める貴重な場となりました。株式会社システムズとCIO Loungeは、今後もコミュニティ活動や情報発信を通じて、企業の持続的な成長と現実的なモダナイゼーション推進を支援してまいります。

参加者の質問に対応する登壇者一同

セミナー終了後には名刺交換も
実施要領
| 日 時 |
2026年 8月25日(火) 15:30 ~ 17:30 [受付開始:15:00~] |
| 場 所 |
システムズ 大阪オフィス セミナールーム
〒550-0002 大阪市西区江戸堀1-5-16 JMFビル01 10階(地図) |
| 主 催 |
株式会社システムズ |
| 共 催 |
特定非営利活動法人 CIO Lounge |
| 参加費 |
無料/事前登録制 |
| 募集人数 |
30名(※お申込み順に受付いたしますので、お早めにお申込みください。) |
| 対 象 |
関西エリアを中心とする企業の
- CIO、CDO、経営幹部層、IT部門責任者・実務リーダー
- 基幹システムの属人化、ブラックボックス化、技術・知識継承に悩むITマネージャー
- 生成AIのシステム適用や現状棚卸しへの活用を検討しているDX担当責任者
|
| 申込締切 |
2026年 8月24日(月) |
■レガシー侍 勉強会に関するお問い合わせ
株式会社システムズ レガシー侍事務局 (システムズのホームページはこちら→)
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